らいとふらいやー…

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天、高く
誰も彼もが
浮かれ雲


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「天高く、馬肥ゆる秋。」。


……いったい、幼少のボクは、何を、どう把握したのか。
……このコトワザの、イメージとして。
……気球みたいに(軽空気で)肥大化した馬が、ふわふわと空を飛ぶ。
……とか、そんな感じの認識で覚えていました。


そうじゃないんですね。
インターネットの世界の言葉で、分かり易く要約すると、ガチムチ。
逞しく、凛々しく、雄々しく。
ウマ並みなのねぇ〜♪アナタとってもぉ〜♪……みたいな。
……何の話だ。(笑)
……ィャ、ナニとかアレとかじゃなくて、身体構造として、全体的にね。


そんな、ウマですが。
空想世界では、然も当然の如く、翼の装備が認められていたりするワケで。
ウマに羽根が生えても「まぁ、アリかな。」みたいな感じで、スルー。


地上歩行型の動物に、翼や、羽根。
それは、時として、荒唐無稽の破天荒で「無いわー。」なニュアンスで使われます。


一例、「虎に翼」


苛虎です、つばさタイガーです、バサ姉です。
ニュアンスとしては「怖ぇよw」的な。
RPGにも、時々、登場するぐらいの怪異、猛威、脅威。
日本だと「鬼に金棒」みたいなイメージです。


一例、「空飛ぶ豚」


あったら怖い、と云うより、絶対に無い。
日本語だと「瓢箪から駒」ですか。
RPGでも、「翼(羽根)を持つブタ」と云うのは、そうそう、登場しません。
(ふわふわ宙に浮くブタなら、それっぽいのが登場する希少例なら点在する。)


ええ、もう。
話の流れの行き着く先は、お察しの通り。


<『紅の豚』>


自戒の魔法によって、自分の姿をブタに変えた漢の物語。
なんだって、また。
宮崎駿監督の隠居の手向けに、この作品を選んだのか。
ジブリお抱えの専属放送局」の意向が、微妙に、分かりませんが。(笑)


それは、置いといて。


「飛べねぇ豚は、ただの豚だ。」の一語が一人歩きして。
ポルコ・ロッソは『豚』としてのアイデンティティが前面に語られますが。
アイデンティティの主軸は『人間』であり、副軸として予備的に『豚』であり。
……えーと、どう説明すれば伝わるかなぁ。
……サブ・アビリティ・システム?
……メインは『人間』で、サブとして『豚』を追加して、複合的な存在がポルコ・ロッソ。


無論。
「豚」に対する誌的トリックを逆手にとった、一般美学に対するアンチテーゼ、とか。
宮崎ジブリ作品ならでは、の、深い深い奥底の考察ってのは、色々と在ります。
……けれど、その辺については、今は、無視します。(笑)
……もう、すっかり、語り尽くされた作品考察ですし。


ともあれ。
見た目は豚、中身は人間、……としての、ポルコ・ロッソの話。


当然と云えば、当然ですが。
豚であれ、人間であれ、原則、空を飛ぶコトはできません。
逆も、また、真なり。
飛行機などを利用すれば、地上歩行生物であれ空を飛べるスキルを得られます。
……人間も、豚も、虎も、馬も。
……翼や羽根とは、若干、ニュアンスが異なりますけれど。
……『空を飛ぶ』と云う一点だけを限定的に考えれば、可能となります。


とどの詰まり。
「虎に翼」。
「空飛ぶ豚」。
……と、掛け合わせて。
鳥人間コンテスト」(仮)。
イカロスの翼」でも良いのですけれど、それだと、意味が大きく変わりますからね。


(「鳥人間コンテスト」は、人が空を飛ぶコトを好意的に隠喩した言葉。)
(「イカロスの翼」は、人が空を飛ぶコトを否定的に暗喩した言葉。)


ともあれ、宮崎駿監督の映画の、宿命的な命題。
「人間が、あの手この手で、空を飛ぶ。」
……『紅の豚』に限らず、ほぼ全ての宮崎ジブリ映画に於いて共通のテーマとされる命題ですが。
……その永遠の命題に対して、当人は。
……何を想って、一徹一路、指針を貫き通したのかなぁ、と。


空を自由に飛びたいな。
はい、タケコプター♪


……ってワケには、行きませんからね。
……ドラえもんが誕生するらしい、ほぼ100年後の、2112年になっても。
……否、人間は。
……ほぼ100年前の、1903年には、翼(飛行機)を手に入れましたからね。


カネさえ出せば、大抵のモノは買える時代、……と、云うワケで。
空を飛ぶ夢やロマンも、今なら、アナタやボクも含めて大抵のヒトが侭なりますからね。
それは。
「空飛ぶ豚」の、荒唐無稽で破天荒な絵空事なのか。
「虎に翼」の、想像を絶する圧倒的脅威なのか。
「天高く、馬肥ゆる秋」の、生物的肥大にも似た人類の栄華のオゴリの象徴の一端なのか。


どちらかと云うと、ボクは。
「飛べねぇ豚は、ただの豚だ。」の、ポルコ・ロッソの言葉よりも。
「……空を飛んでも豚は豚よ、馬鹿っ!」の、ジーナ姐さんの言葉の方が、心に残ってます。