おにいちゃん…

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『妹』は
そもそも兄(姉)が
あってこそ!


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サツマイモの日、麻酔の日。
特に何の特徴も無い、普通の日。地味な日。


アニメの中の出来事としては。
ガトーがGP02を強奪して、いわゆる『デラーズ紛争』が勃発した日。
特に何の特徴も無い、普通の日。地味な日。
ィャ、大事だろ。(笑)


アニメキャラの誕生日としては。
死ぬ気で生きる硬派な893、家庭教師ヒットマンのリボーン、とか。
大道寺家の秘蔵っ子の令嬢の知世を女手一つでド変態に育て上げた、母の園美さん、とか。
ちょっと時代の先を走り過ぎた男の娘、秋月奈久留クン、とか。
マッドサイエンティストの母の、宝条への狂愛によって人生の全てを狂わされた。
悲哀のホムンクルス、『FF7』のヴィンセント・ヴァレンタイン、とか。
……なんつーか、何とも、人生やキャラの濃い面々に混じって。
桃月町名では地味に人気者の、無個性が自慢の桃瀬兄妹(修、くるみ)の誕生日。


どうせだったら、さ。
桃瀬兄妹の誕生日は、さ。
他に、アニメキャラの誕生日が誰もいない10月14日だったらなぁ、と。


そんな感じの話。
何の特徴も無い、普通で地味で密度の濃い人生を過ごす、兄と妹の群像劇。


<この中に一人、妹がいる>


6人(5人+隠れ1人)の妹候補の中から、本物の妹を探す、シスコン物。
かつて。
13人の妹と組んず解れつ、そんな狂作をリアルタイムで接していた世代としては。
どーせ『シスタープリンセス』を半分ぐらいに圧縮した廉価版だろう、とか思っていたら。
……どちらかと言うと。
おねがいツインズ』を3倍に広げた感じの、微妙なシリアス系でした。
つーか。
いくらなんでも、1クール13話弱で早々と結論に至るってのは、ご都合主義の典型だわ。
この軽薄短慮の展開で「原作は、ライトノベル」とか胸を張られても、困る。(笑)


ィャ。
コレが『シスプリ』や『おねツイ』みたいな、一発企画なら納得しますよ。
例え、過去の発想の二匹目のドジョウを狙ったインスパイア(パクリ)でも、ね。
……でも、さ。
……ライトノベル、なんですよね?
……どうやって広げるの、今後?
……話の中身、じゃなくて、「商売」として顧客の裾野を、さ。


で、そもそも、この後に及んで『妹モノ』が、ジャンルとして通用すると妄信している。
そんな、出版業界の老害(作品の意向を決定する編集の偉い人々)の固執も、どーかと思いつつ。
もはや『妹モノ』の時代は終わった、……か、と、問われれば。
存外、そうでも無いらしく。


ちょこッとSister』。
俺の妹がこんなに可愛いわけがない』。
『お兄ちゃんのことなんか、ぜんぜん好きじゃないんだからね!』。
『この中に一人、妹がいる』。
お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』。


そもそも、妹萌えの原典ってのは。
アダルトゲームにて、兄と妹が、ポルノ小説ぐらい濃密な…(18禁)…であり。
性的倒錯のカタルシスが、商売の底地を固めたからこそ、磐石の産業基盤となったワケで。


逆に、云えば。
性や風俗に金が流れない、今の御時世で。
「お笑い」の観点から、兄妹モノで金を集めようとしても、至難の業なのですよ。
(エロスが売りでは無く、メタフィクションヤンデレなどのウケ狙い路線のラノベ。)
芸人仕事で一攫千金を狙う吉本興業、みたいな、大博打なんですよ。
客の喰い付きも良いけど、客の離れも早い。


そんな中で、否、それでも。
安定的に、兄×妹を主軸としたストーリーの土台が重要視されて。
エロスの有無を問わず、ウケ狙いの毛色や質や方向性を問わず。
安定的に作り出されて、安定的に売れてる、……ってのは。
些か、不可思議と云うか、腑に落ちない気がしていたのですけれど。


最近。
キミキス』『アマガミ』など、ラノベ以外のジャンルも総括的に見て。
兄×妹モノが、安定的に需要される、本当の理由みたいなモノが分かった気がしました。
いわゆる「妹モノ」に、性的好奇心が薄れて、金を出すヒトが少数となった時代の中で。
どの客層が、現在の「兄×妹モノ」の経営地盤を、地味に支えているのか。


もしかして、最近の「兄×妹モノ」の本旨、……って。


妹萌え、……じゃなくて。
お兄ちゃん萌え、……なのか?


顧客が求める「ドキドキ、や、ワクワク」(萌え)の対象は。
妹、じゃなくて、お兄ちゃん、に、向いているのかッ!?(笑)


なるほど。
美少女ブーム、萌えブーム、などの、性風俗としてのブームの乱高下とは裏腹に。
エロスやセックスを度外視して、妹と兄の関係性に関して。
むしろ。
「コメディとしての萌え」を見出した客層が、新しい顧客の土台になった、と、言うなら。
そうした人々の嗜好の基軸が「むしろ、お兄ちゃんキャラに萌える」と言うなら。
(ショタや801としてどーこー、では無く、キャラとして好ましい、と云う意味。)


なるほど、上記に列挙した「ラノベ系の『妹モノ』」の産業基盤は。
過去を加味しつつ、まったく新しい商売へのアプローチ、……ってのも、分かる気がする。


お兄ちゃんキャラ萌え、……を、主軸として見れば。
なるほど。
自今のラノベブームに端を発する「新・妹ブーム」の流れも。
アグレッシブで、ウケ狙いで、ヤンデレで、あからさまにわざとらしい強烈な個性も。
過去のパクリ、……では無く、新しい文化の方向性として、楽しめる気がする。
それは、むしろ、お兄ちゃんキャラの萌えを引き出す役割を果たすのだろう、……と。