ごろわーず…

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仏蘭西
あまり似合わぬ
ギタリスト


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天原ふゆきの誕生日。
……と、いきなり説明されて。
……そのまま話が分かるヒト、と、まったく話が分からないヒト、が、居て。
……そんな感じの「分かるヒト」と「分からないヒト」の温度差の話。


なかやまきんに君の誕生日。
……とか、まぁ、話の流れのついでのネタ拾いなのですが。
……一つの分野にこだわる「男」(『漢』では無い)の、女々しい美学の話。
……女々しいとは言うけれど、それは、ある意味、哲学にも類する崇高な世界。
……ただし、無論。
……大半のヒトにして見れば、時間の無駄の、与太話。(笑)


何は無くとも、真・敬老の日
……つーか、新・敬老の日


ところで、諸兄。(含、諸姉。)


ゴロワーズを吸ったことがあるかい?


……いきなり何の話だ。(笑)
……もとい。


ゴロワーズを吸ったことがあるかい?』を聴いたコトがあるかい?


ほら、ムッシュかまやつがラジオの中で歌ってる奴さ。
ヨレヨレのニット帽の天辺を立てて、声が枯れるほど奴は歌うのさ。


……ええ、もう。


うにうに。さんは、侭、読み手の都合を無視して。
高難解度のネタを、唐突に持ち出すコトがあるですが。
『みかん「え?」日記』史上、最高難易度のネタだと思いまス。
上記の替え歌を「上手いっ!」と思ったヒトが、何人ぐらい存在するコトか。
そもそも。
ゴロワーズを吸ったことがあるかい?』なんぞ、誰が知っているモノか、と。(笑)


♪キミは、例え、それが、すごく小さな事でも
♪何かに凝ったり狂ったりした事があるかい?
(…中略…)
♪狂った様に凝れば凝るほど
♪キミは一人の人間として幸せな道を歩いているだろう


こんな感じの、70'sの、フォーク・ロック。
モーレツからビューティフルへと移行する過渡期の、昭和歌謡界の混沌。
フォークソングの終焉、と、ニューミュージック・アイドルの開闢、の、端境。
……と、説明すれば。
……あの時代の独特のケレン味、が、少しは伝わるだろうかしら。


端的に歌詞の内容を要約すれば。
フランス被れの、人生に草臥れた、中年のおっさんが。
ゴロワーズ(フランス文化)が、如何に崇高なモノかとウンチクを垂れながら。
「……今の俺は、何を見ても、何をやっても、何とも感じなくなったよ」、と。
「……赤ん坊の頃は、何を見ても、何をやっても、全てが感動だったのに」、と。
人生の無碍と悲哀を愚痴りつつ、ゴロワーズを吹かして、そんなこんなの与太話。


正直。
初めて、この曲を聴いた時の第一印象は、ドン引きだったのですが。
コードもデタラメ、リズム感も無視して、自分に酔ったデロデロのギターサウンド
昭和の栄華の残り火から抜け出せない、哀れな亡霊の類か、……と、思いました。


それが、いつ、何がキッカケなのか、ボクにも分かりませんが。
何故か、この曲が、すごく好きになってドハマリしている、価値観の正反転。
風呂やら何やら、ついつい、口ずさんでる自分が居ます。
……っても。
……未だ、ゴロワーズって煙草を吸った事は無いケドな。(笑)
……ジャン・ギャバンとか言われても、名前すら知りません。


ムッシュかまやつ御大の老齢のオーラに巻き込まれたのか。俺?
年功序列の圧力に負けて、若輩ゆえに睥睨したのか。俺?
……とも、考えたのですが。
……「長い棒に短い棒、支え合ったら『人』となる〜」のアレを聴いても。
……「何だコレ?」って感じの、チョイ引きです。


テレビやら、ラジオやら。
何かの折に、ムッシュかまやつ御大の御姿を目にしても。
初期のルパン三世、か、水木しげる先生の漫画、に、登場しそうな面妖な爺さん。
その、第一印象のインプリンティングが、そのまま今も続いています。(笑)
『ザ・スパイダーズ』とか、曲を聴いても何も記憶に残らない。


ただ、一つ。
ゴロワーズを吸ったことがあるかい?』の、一曲だけが。
心の奥底を、痛烈に、グサリと穿ったのです。
あの曲を歌っている時だけは、ムッシュかまやつ御大が、神様に見えます。
70'sフォークロックの神か、音楽の神か、貧乏神か、何の神様かは知れませんが。(笑)
……ィャ。貧乏神は、ちょっと待テ、と。
……氏の愛着しているニット帽は、ボクの月給では買えない高級品なのだから。
……見目は貧乏臭いケド、心根と感性はブルジョワジーな御仁だぞ。


まぁ。
氏が、何気に高級志向なのか否かは、知ったコトでは無いですが。
そして。
氏に感化されて、ボクもゴロワーズを吸いたい、なんてコトは毛ほどにも考えませんが。


なんつーか。
一曲の音楽が、こうも不自然に、楔となって心根に突き刺さったのは。
久々の感覚なので、ちょっと戸惑っていたりもします。


音楽、って、たまに、こう云うコトってありますよね。
どこの誰が歌ってるとも知れない、タイトルも知らなかった一曲が。
いきなり、自分の心の中に、妙に深い存在感を発揮するコト、……って。