もーにん…
※ ※ ※ ※ ※ ※
※ ※ ※ ※ ※ ※
うん。
やっぱり、JAZZは良いね。
デキシーランドスタイル、ビッグバンド、ニューオーリンズスタイル、などなど。
ジャンルに関するゴタクは、合切、度外視して。
ただただ、JAZZ、……ってだけで、もはや理屈は要らないよね。
<坂道のアポロン>
JAZZ、って意味では、素敵な作品だと思います。
『ノイタミナ』枠で見る価値っつーか、意義の大きい作品です。
『アニメシャワー』とか『マンパ』とか。(いずれも、関西の場合。)
見る時間が異なると、また、ニュアンスが変わるのかなー、とか。
味わいの底が地味に深いので、ちょっとだけ、驚きました。
もっとも。
「カウボーイビバップのスタッフが……」って宣伝文句は、腑に落ちないけどな。(笑)
……何故なのかしら。
……主軸は、どっちも、JAZZなのに。
野暮な部分に箸を突っ突いて、瑣末なツッコミを御容赦いただけるなら。
文化祭で、件の二人の王子様が、舞台の上で颯爽と演奏した『Moanin'』。
『ルソンの壺』だか『美の壺』だか、NHKでも御馴染の、JAZZの名盤。
個人的には「あと一人、ウッドベースが欲しいなァ」とか。
何様だ、俺。……みたいなコトを、評論家まがいの視点で考えていたですが。(笑)
取り敢えず。
アニメオタク然とした、いつものボクの悪癖の「何様気取り」は、それとして。
知る人ぞ知るJAZZの町、高槻市で生まれ育った音楽感性から感じた、素直な感想。
あの、二人の王子様。
もう10年ぐらい、音楽を介して付き合いがある同志の、阿吽の呼吸で演奏していたのが。
なんつーか、作品のストーリーの軸の流れと展開から、逆算して。
ものすごい、中途半端な違和感でした。(笑)
クラシック畑で育ったボンが、いきなり、短期間でJAZZのフィーリングを身に付けた事については。
リアルでもあり得る、許容範囲の御都合主義の、違和感の無い展開なのですけれど。
ィャ。
ボン(薫)とバンカラ(千太郎)は、さ。
ひと夏の青春の、出会って間も無い高校生が突貫で組んだピアノデュオだろ?
だったら、もっと、こう。
不慣れな関係だからこそ織り成せる、逆説的なフィーリングってモンが、ですね。
……みたいな事を考えてしまいました。
そりゃ、まぁ、アニメなので。
実際に演奏しているのは、ボクやアナタと同じく、普通の人間であり。
普通の人間だけど、音楽に精通したプロなので、それなり以上の演奏になるのですが。
逆に、普通の人間だけど、音楽に精通したプロだからこそ。
「出会ったばかりの高校生二人による、斬新なフィーリングのリンク」が出せなかったのかな、と。
実際にピアノとドラムを演奏していた、マイクの向こう側のプロの人は。
双方、10年来の付き合いがある仕事仲間とか、そんな感じの関係で。
うっかり、そのプロとしての経験と実績と、培った音楽感性を。
そのまんま、アニメの雰囲気を無視して、サウンドトラックに仕上げちゃったのかなー、と。
プロの仕事が、逆に、アダになって作品を台無しにした、珍しいパターンだと思いつつ。
ともあれ。
ノイタミナ枠で見てると、なんとなく。
結局『のだめカンタービレ』の二の舞になるのかなー、とも、思ったり。
アニメを見てるヒトも、アニメを作ってるヒトも。
音楽の何が良いのか、本質的な側面に、まったく興味が無いって気がする。
「今までと違う刺激」の一抹として、ただ、JAZZに目を向けただけ、……みたいな。
それはそれで、また、JAZZなんですけどね。
一時の刹那的な、使い捨ての悦楽。
クラシック音楽は、慢性的で長期的な下地を要する道楽だけど。
ジャズ音楽は、気が向いた時にサクッと楽しむ事も許される遊興だし。
その辺の「軽さ」とは裏腹に、音楽は、ものすごいガチで「重い」ですけれど。(笑)
内容の「軽さ」と音楽の「重さ」のアンバランスも、また、一興。
コレはコレで、『のだめ』とは違って、アリなのかなー、……とか。
ただ。
『カウボーイ・ビバップ』的な意味でのJAZZを、期待するなら。
ボクは『ヨルムンガルド』の方が好きです。
そりゃー、音楽は、パンクと云うか、メタルと云うか、まったく別物ですけれど。
なんだろう。
作品の趣旨の向かおうとしている先が、全体的に、JAZZ。
『ヨルムンガルド』は、そんな気がして『カウボーイビバップ』に似てる。
『坂道のアポロン』は、むしろ。
「アニメでJAZZをヤります!」って、方向性を打ち立てているクセに。
『のだめカンタービレ』と同ベクトルのクラシック音楽に向かってる気がする。
「JAZZが好きなヒトのやってるJAZZ」では無い、知識と経験に裏打ちされた予定調和の粋。
……だから、音楽としては、とても、とても良いのに。
……それがJAZZか、と、問われれば、凄まじい違和感を感じるのだと思う。
あー。
クラシカル・クロスオーバー・ジャズ。
そう説明されたら、納得する。
「ピアノと打楽器のための即興協奏曲『Moanin'』」とか言われたら、納得する。
けれど。
Art Blakeyの珠玉の名盤、……では、無い。