みすてりー…

   ※   ※   ※   ※   ※   ※   


ミステリー
売れてないから
見捨てりぃ


   ※   ※   ※   ※   ※   ※   


そう云えば。
チマタでは、ミステリーブームなんだそうですってネェ。


引き合いに出されたのが『氷菓』なら分からないでも無いですが。
黄昏乙女×アムネジア』も、ミステリーに類して良い気もしまスが。
どうにも。
先駆的に『Another』が引き合いに出されるのが、どうにも腑に落ちません。


……ィャ、原典(綾辻行人さんの小説)はミステリーでしたケド。
アニメは、ただのスプラッター・ホラーだったじゃん?
BLOOD-C』や『学園黙示録』と、おなじカテゴリーの。


そりゃー、まぁ、ミステリーってのは。
ヒトの死生の緊迫感を描いてなんぼ、なので。
ヒトが一人も死なないミステリーの方が、あるいは、どうかと思うのですが。


でも、さ。
ミステリー、……って、「妹」や「メイド」ほど衆目性は無いぞ?


こだわるヒトは、本格的なモノにしか手を出さないし。
無頓着なミーハーは、一ヶ月もしない内に閉塞性に嫌気が刺して離れるし。
カネとヒトの一過性流動を目的として、商売のタネにするには。
些か、リスキーなジャンルだと思うのですけれど。
(非営利目的の文化的な趣旨で、採算度外視の玄人商売なら、話は別。)


……。
……ああ、そうか。
……でも、考えてみれば、世間一般のモノサシで見れば。


金田一少年の事件簿』とか『名探偵コナン』とか。
ミステリーを商売のタネにして、商業的に成功した事例もあるか。


つーか。
少なくとも、自今のライトノベル界のミステリーブームを見ていると。


「怪異」。


やたらと、この概念『だけ』を主軸に据えてる印象が……。


死んだヒトの現世への未練が枷となり、現実に干渉する。
……っぽい、そんな感じの演出ばっかり。


人間の強欲を主軸とした、犯罪ミステリーに関しては、
もう、飽和状態を通り越して、完全に焦げ付いた坩堝なのですけれど。
土地神だの氏神だの、とか。
陰陽師だの式神だの、とか。
身近な死生を介さない歴史ミステリー、なんかは、まだまだ透き間が有りそうで。


歴女ブームの兼ね合いで、そっちに裾野を広げても良い気がするのに。
安倍晴明×芦屋道満とか、ルパン×ホームズぐらい盛り上がる気がするのに。(笑)
……ィャ、もう、大量にネタが出回ってる王道かも知れませんが。


なんつーか。
「学園内での身近な死人のウワサが、妙なカタチで現実化して……」みたいな。
そんなのばっかりじゃないですか。
今のミステリーブームで引き合いに出されてる作品、って。


あるいは。
ちょっと経路が違う、と、思ったら。
GOSICK』だったり『ダンタリアンの書架』だったり。
「洋物の、幽獄の、ロリータ」って、発想が見事にブッキングしたりして。


土台。
「怪異」って単語が、自今、不自然に着目されているのは。
西尾維新センセの齎した、甚大な悪影響の一貫でしか無いワケで。
西尾維新センセへの狂熱が冷めない限り、ラノベ界の、この風潮は続く気が。


涼宮ハルヒの以下略』に、感性を、毒されて。
それっぽい文体を、見様見真似で、猿真似して。
一人称でメタなネタを差し挟み、それを「セカイ系」と自負する、とか。


そんな真似事ばっかりで、さ。
今後、ライトノベル産業は。
どうやって、新しい客層の裾野を広げて、商売を続けるのかなぁ、……と。


アレですか?
アクセルワールド』みたいに。
「この作品は、当社の大賞で二部門を制覇した次代の傑作だよ!!」みたいな。
作品の質とは不釣合いに、人目を引くべく神輿を飾り立てて祀り上げ。
佳作レベルに手足が生えた程度の作品を押し売りして、作家を付け上がらせるか?
……二年前なら「あと一歩で大賞を獲れたのにねー」って突っ撥ねる程度の安物を。


ミステリー、……と云うと、その多義性に困惑して、話が混乱しそうなので。
「謎」、……と、表記を改めると。


自今のミステリーブームを眺めていて。
ボクが、何よりも、感じる「謎」は。
このブームに乗じて、晴れて、職業作家に転職した連中は。
10年後、どうやって、税金や食費を工面して、現実世界で生活を続けるのかな、と。
その具体的な算段が、サッパリ見えないのが、目下、最大の「謎」です。
10年後も今のペースで作品が売れて、印税で生活をする前提に見える。
……そりゃ、中には、生涯、印税で生活できる職業作家もいるでしょうケドね。
……逆に、中には、五年で印税収入が 0 になる作家もいるワケで。
……生活のリアリティが無い、この浮世離れの、職業実務の形態。


「謎」です。
決して、ミステリーでは無いケドな。(笑)


何年か、後には。
「あの売れっ子作家が、今は生活保護で、どうのこうの……」、とか。
そうの手の、誹謗中傷や、ヤッカミや、侮蔑が。
インターネットの片隅のそこかしこに、知れず、蔓延するのかしらね。
真偽や経済実態は、どうであれ。