そらまち…

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天を穿つ
通天閣
名の如く


『人造世界樹スカイツリー)』か
バベルの塔』か


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空の神さま(仮)の話。


スカイツリー界隈の商業施設に、肖って。
「空町」ならぬ、「空待ち」の話。


例えば、アナタは今、小学生だったとしまス。
明日、『新緑マラソン大会』っぽい校内イベントが、あるとします。


……さて、アナタは。
……雲ひとつ無い『ザ・初夏』って感じの快晴が良い、ですか?
……がっつり豪雨でマラソンが中止になって欲しい、ですか?
……暑くも寒くも無い曇天、ちょっと陰鬱な梅雨空が良いですか?
(がっつり雨天だと、イベントが中止になって、平常授業になっちまうから。)


地上に住まう人々は、古今東西、老若男女。
天を仰いで、その日の空模様に対して。
日に日に間に間に、瑣末な願望を、それぞれが個人の都合で抱くワケですが。


5月21日、金環日食


関西を代表する気象予報士の一人、明朗な笑顔と爽快なダジャレで御馴染の、片平敦さん。
純粋に空を愛し、自然を慕い、地学(天文学)に徹し。
その想いが昂じて、生業として気象予報士と云うジョブを選択した人物なのですが。
そして。
職業柄、あるいは、天来の性格上。
今回の金環日食を、誰よりも、童心にしてピュアに楽しみに待っていた一人なのですが。
……そんな彼に対して、空の神さま(仮)、は。
……『太陽の金環(リング)』が見える頃合の数分間だけ、灰色の雲で覆い隠してしまいました。


「太陽が見たいよぅ……」


いつも通り、サクッと差し挟まれる、片平さんの十八番の瑣末なダジャレ。
しかし。
その表情は失望と鬱屈に沈み、ネガティブなオーラが全面に漂い。
あんなに「負」に染まった片平敦さんの姿、ってのを、ボクは初めて見た気がしまス。
(いつもは「正」と云うか「明」の一文字が似合う、草食系の癒し系。)


どうして、空の神さま(仮)は。
純粋に空を愛し、自然を慕い、地学や天文学に徹した若者の、純朴な夢を。
無慈悲に全否定して『太陽の金環(リング)』を見せてあげなかったのかなー、と。
なぜ、人智の範疇の些細な希望を、自然の偶然は、徒に、打ち砕いたのか。


5月22日、東京スカイツリー開業記念日。


もう、テレビでは、どこのチャンネルを回しても、同じ映像だったので。
説明するまでも無く、あの日の窓の外は、真っ白の一語だった事は言わずもがな。
それでも、初日来場者の人々が、万民万感、熱狂と歓喜に包まれていたのは。
「自分の身を以って、その場所に足を踏み入れた、達成感の実感」って奴だと思います。


そりゃ、インターネットの向こう側では。
「曇りで何も見え無ェwザマァwww」みたいな揶揄中傷の声もあったワケですが。
ヒガミ根性で、曇天や雨天を所望した地上の人々も、多かったと思うですが。(笑)


空の神さま(仮)は、初日来場者のロマンに対して。
真っ白な雲のベールで窓外を覆い隠し、落胆と失望を与える、……と、云う。
神話だか寓話だか、みたいな、人間じみたヒガミのイヤガラセで来場者を出迎えました。


一連の天体イベントを、ことごとく、雲で妨害した、空の神さま(仮)の所業。


「神さま」の概念を全否定して、唯物論の観点で、素直に云えば。
間が悪い。
ただただ、その一語に尽きる、何のコトは無い与太話なのですが。


「神さま」の概念を寓話的に肯定して、妄想論の観点で、穿って考えれば。
いったい、何が気に入らなくて、空の神さま(仮)、は。
人々の楽しみを、ことごとく、これ見よがしに神威をひけらかして、邪魔したのか。
その辺りの、自然界のシニカルな偶然について、問うてみたい所存。


なんつーか、アレですか?
空の神さま(仮)も、五月病だったりするんですかね???
……まぁ、神位も疝気を病むほどのイヤな世の中なのは、分かりますケド。
……人間じゃないんだから、弱者への遠回しな八つ当たりは勘弁して欲しいなぁ、と。