ちはや…

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弟の
笑顔に捧げる
『約束』


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如月千早


アイマスプロジェクト第一期メンバーにして、平均的に人気上位に君臨する大看板。
(第二期メンバーは、ミキ、貴音、我那覇、などの正規本編上の追加メンバー)
(第三期メンバーは、DS版の涼きゅんなどの外伝的なカタチで追加されたメンバー)


アイドル物の萌えゲーにありながら、正等な歌唱力を信条とし。
紺色のストレートヘアーに冷涼たる釣り眼で、ネタやドジなどのサブアピールには逃げず。
だから、実力主義の硬派なファンから支持された、鉄板。
その無個性と無表情の奥底に秘められた、哀しい過去は、多くのファンの共感を誘い。
永代、不動の人気を博する重鎮の一人、……なのですが。
(双海姉妹、春歌、雪歩、みたいに、露骨な『(汎用)萌え』要素で大衆に媚びない)
(伊織、やよい、真、みたいに、コアなツカミ所をわざとらしく追装しない)


なのですが。


あずまんが大王』の榊さん、に、しても。
『日常』のメガネ、に、しても。
ぱにぽに』の玲、に、しても。
マリア様がみてる』の小笠原祥子さま、に、しても。
この手のコンテンツには、平均的に、万作に於いて同等の傾向が見られるのですが。


理不尽にして、無為な、アンチからの謂れ無きバッシング、も、然り。
ファンからの応援と、同じぐらいの割合で。
マイナス票も大量に押し付けられた、天秤の振り子が大きいヒト。


<THE IDOL M@ASTER 〜THE ANIMATION〜>


アニメ版、中盤戦の最大の佳境。
千早の過去と頓挫、そして、復活。
千早ファンなら号泣必死、の、大舞台。
東映Kanon』で云えば、川澄舞シナリオ。(笑)


……らしいのですが。
……なんて言うか。


コレが、key、か、Leaf、だったら、納得しまスけど。
ナムコ、ですよね?(パンナム含む)


だったら。
演出が、くどい。
「千早は、こんなにも頑張っているんです!!」って、魅力を押し売りしなくて良い。
むしろ。
監督だか、演出だか、脚本だか、作り手の個人的な熱意が暴走して。
見所をゴリ押ししたせいで、千早の本来の持ち味が、逆に、泥くさくなった。


四条貴音の御当番回は、あんなにストレートに展開を切り回したのに。
我那覇響の御当番回は、率直に主義心情を描いたのに。
高槻やよいの御当番回は、簡潔明瞭に状況描写を取り纏められたのに。


なぜ。
千早の話だけは、あんなにも、もったりと、余計な手を加えたのだろう。
心情描写、情景描写、周囲の状況説明、などなど。
何かに付けて、必要以上の時間と演出を付け足して、クローズアップさせたのだろう。


なぜ。
「千早は、ものすごく頑張ってるんです!」と、第三者的にゴリ押しするのだろう。


ミキだって、頑張ってるじゃん。
伊織だって、必死に努力してるじゃん。
アズサさんだって、誰も見てない所で、他のメンバー以上に尽力してるじゃん。


なぜ、「千早だけが特別なのだ」と云わんばかりに、大贔屓したのだろう。
『家族の死』と云う、見え透いたドラマツルギー設定を背負ってるから?
お涙ちょうだい路線なら、人々の目と心を、手っ取り早く掴めるから?


いや、悪口ばっかり書いてますけれど。
素直に良い話でした、実際。
たかが、キャラゲー原作のアニメである事を踏まえた上での感想として。
key、や、Leaf、が、原作を作ったのであれば、ね。


京都アニメーションじゃあるまいし。
ナムコのゲームには、ナムコ独特の、淡麗だからこその明瞭な味があるのに。
それを無視して、作り手の自己満足だけを、ダラダラと見せ付けられても。
わざとらしい濃い味が、逆に、五感に触る。


なるほど。
問題作のゼノグラシアが始まるよりも、もっと、ずっと以前の、最初の頃から。
千早には妙なアンチが執拗に粘り付き、ファンの気概を損ねていたのも分かる気がする。
相応、多くのファンから、不動の人気を得てトップランナーとして走っていた事情も含めて。


スター性のせいで、個性を見てもらえない不幸を背負ってるのね、先天的に。


あるいは、小笠原祥子さまと似た天運なのかも、……とか。


周囲に期待された通りの実績を、淡々粛々と、こなし。
非の打ち所が無い、故に、表層だけを過大評価される鬱屈に、堪えて。
しかし、心身の無理を他人に見せず、精神の疲弊は知らず知らずの内に、心に圧し掛かり。
しかし。
支えであった家族がグラ付いた時、心が重みに耐えられなくなって、ヘシ折れて。
地に伏したが最後、自力では立ち上がれない程に、大ダメージを受けて。
そして。
改めて、知る。
家族だけでは無い、心の支えの拠所。


……とか。
……かつて、ここまで深く分析された事があるのかなぁ、と。
……如月千早、その「天稟の偶像(イツワリノウタヒメ)」の、人格の深淵を。