あおひげ…

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まっすぐに
前を見据えて
横恋慕


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まぁ、モノがゲームやアニメの世界なので。
「過去の偉人の生き様に薫陶を覚え、自分の理念や思想を重ねる」と云うのは。
ただただ、都市を生きる人間の誇大なる自我のオゴリ、なのですが。
……もはや「イタい」ですらない、痛々しいの一語に尽きる。(笑)


しかし、モノがゲームやアニメの世界なので。
「過去の偉人の生き様に薫陶を覚え、自分の理念や思想を重ねる」と云うのは。
人目さえ気にしなければ、わりと楽しい愉悦の刹那でも、あります。


Fate / Zero>


七人の魔術師、七人の英霊。
それぞれの言い分と主義心情に、共感したり、反目したり。
読者によって、それは、バラバラで多様な解釈ができるワケで。


ボク自身が感じた、一つの、「多様な解釈」の話。
コレを、他の人が、どう協賛するか、反目するか、知ったコトでは無いですが。


少なくとも、ボクは、痛烈に。
稀代のド変態にして変質者、青髭ジル・ド・レー、……の、主義信条に。
奇妙なシンパシーを、抱いてしまいました。


前説。
キャスターのクラスに座した青髭、とは、どんな人物か。
ただの通り魔、的な、誰でも良かった系の殺人鬼です。以上。(ぉぃ。)


要約。
そんな殺人気の青髭さんが、聖杯に対して抱く、信念の内容。
……いったい、あの猟奇と異端の、何に、ボクは共感したのか。


青髭「お迎えに上がりました、聖処女……」
アイリス「貴女の知り合い?」
セイバー「見覚えは、ありませんが……」
青髭「おお御無体なっ……この顔を御忘れになられたか!?」
セイバー「忘れるも何も貴公とは初対面だ」


聖処女の復活を祈願し、今一度、巡り会う奇跡だけを大願し。
混沌と愚濁の平成の世に馳せ参じ、虎視眈々と機を睨み。
斯くして。
彼の執念と深意の横恋慕は、神の威と気まぐれにより成就を成し。
楚々として凛たる神の申し子『聖処女』は、現世に君臨されたし。


……と、青髭ジル・ド・レーヌは思っていたそうなのですが。


セイバー「我が名はアルトリア。アーサー・ペンドラゴンの嫡子たるブリテンの王」
青髭「ぉおぉ何と嘆かわしい!?記憶を失い、挙句、錯乱されておられるッ!?」


一応、稀代の変質者にして猟奇の殺人鬼と名高い、青髭と言えど。
紛い成りにも七英雄の一人として聖杯が認めた「英霊(サーヴァント)」。
その理念は、イスカンダルギルガメッシュに匹敵する真摯たる想い、らしく。


青髭「しかし聖杯戦争終結した。もはや何人と争うまでも無く」
アイリス「……何を言っているの?」
青髭「聖杯は今、我が、ジルの手中にあり!」
セイバー「……?」
青髭「そしてッ!!聖処女ジャンヌダルクは、此処に復活した!!!!」


えーと。
簡単に、要約を、取り纏めると。
青髭が聖杯に臨むのは、殺戮でも猟奇でも悦楽でも無く、ジャンヌ・ダルクの復活。
そして。
セイバーを、手前勝手に、ジャンヌ・ダルクと盲信している。
……聖杯が青髭の願いを叶え、聖処女ジャンヌと巡り会わせたと狂信している。


何とも傍迷惑な、ド変態のストーカーなのですが。
逆に、云えば。
その、一心たる盲執は、聖杯戦争にノミネートされるに至るほどの、狂気。
次代、キャスターの座に就いたメディアに匹敵する、真摯にして深淵たる、情念。


それぐらい、筋金入りの、横恋慕。
……ィャ、まぁ、その横恋慕の悲恋の一方通行にも、大きな同情を抱きますが。(笑)
……ボクが、青髭に対して抱いた共感は、一途な恋心(変質愛)では無いです。


では、いったい、何に対して。
ボクは、稀代の殺人鬼、青髭の主義信条に。
「念と言わざるを得ない」と言わせしめるほどに、同調したのか。


この一文。


青髭「そしてッ!!聖処女ジャンヌダルクは、此処に復活した!!!!」


つまり。
セイバーは、やっぱり誰が見ても、ジャンヌ・ダルクだと思うよねぇ。


青髭さんの一方的な盲執の押し付けは、別段、何も、間違っていないと思いまス。
セイバーをジャンヌ・ダルクだと間違えるのは、至極、普遍的な発想だと思いまス。


本日の結論。
アイリス「……会話が成立しない相手って、疲れるわね……」


……ごめんなさい。(笑)