べんとう…

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サバ缶と
白飯(ごはん)だけでは
侭ならぬ


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「焼きサバでも、おいしいから別に良いじゃん」
「だから、私が所望したのは、焼きソバだよッ!!!!」
……でも白飯(シロメシ)があるだけ、冒頭の一句は、まだ、救いですね。
……ちなみに季語は『白飯』(ごはん)、季節は「秋」。


(ごはん)と(シロメシ)のニュアンスの、微妙な、差。
それは、つまり、日本語のわびさび。


もとい。
確かに、日常生活にて在り来たりな一コマを、超ハイテンションに描いた作品の話題なのですが。
今日の本旨は、あらゐけいいちさんの『日常』とは、まったく関係の無い話題。


ライトノベル原典として見ると、粗製乱造は、もう結構……ってな話なのですが。
ライトノベルである事を無視して、普遍的な「主人公イジメ型のド根性アニメ」として見ると。
なるほど。
作り手が一丸となって云わんとしているコトは、分からないコトも無くもない。
……もっとも。
……製作に携わる人間の半数は、税金とメシを払うための私財の充填しか考えていないだろうケド。
……アキバ系の関連産業(作品製作からグッズ販売に至る全域)のみならず。
……いわゆる「自己責任」を架せられる世代となった社会人全員が、宿命的に担う、哀しきサガ。


ベン・トー


侭、この手の話になると「妄想と現実の区別をどーこー」みたいなコトになりますが。
スーパーマーケットの惣菜半額にまつわる、現実の話。


現実、もっとも算段すべきポイントは「半額開始の時間の見定め」なのですが。
現実、確実に、半額の惣菜を入手するための方法は。
当日の値引き担当の店員と、個人的に友好関係を築くコトです。
殊、だから、惣菜担当者全員と仲良くなっておくのが、最良にして最速の、策。


惣菜担当者と仲良くなると、どんなメリットがあるのか。
時間外値引き、……と云う、外法に手を染める機会が格段に増えるのです。


「まだ、半額対象では無い商品に半額シールを貼る」……と云った、経営上のルール違反、では無く。
「値引き開始は18:00前後だけど、フライングして17:27にシールを貰う」……と云った、人情誤差の逆手。


実際問題、33分間の間に500円で売れるハズの弁当が、250円に値下げされるワケですから。
店舗としては、損失となります。
否、「33分間ほど待っても、どうせ500円では売れないからね」ってな感じの、現場の当直判断は。
許容範囲として、店長クラスまでの上司が相手なら、黙認される場合もあります。
(店長以上の店舗管理者に発覚した場合、個人都合と人情による1円の実損さえ、決して許されない)
(店長によっても、生真面目だったり堅物だったり、御役所体質主義だったりすると承認されない)


うにうに。さんは相変らず、随分と豪気に、まるで見て来た様な口調で語るんですねぇ。
ええ、だって。
実際、ボクも、値引き担当の一員として『半額シール』を預かった経験を秘める職歴を持つワケで。
人情による濫用によって、ものすごく怒られたからこそ、自学して許容のサジ加減を見極めた。


不思議なモノで。
自分自身、『半額シール』を預かっているのであれば。
自分が欲しい商品を、都合を見定めて、自分の手で『半額シール』を付与するコトもできるハズなのに。
少なくとも、ボクは、一度もヤりませんでした。
他店舗で、それをヤって、バレて、解雇された同志が存在するのか、どうなのかも実態は知りません。
(根拠不明瞭のウワサとして、そうした話題は、度々、事務所の中で盛り上がる)


えーと、つまり。
ベン・トー』の世界観は。
根っこの設定から、まず、現実では絶対に成立しない状況なのです。
個人個人が手前勝手に錯綜して、とにかく手に入れた者の勝ち。


まぁ、そんなコトを言い出したら。
真っ黒な箱が女の子になって、全裸で煎餅を食べながら「きゃー!」とか。
小学生が下着姿で「バスケだけじゃなくて色々なコト教えて下さい、コーチ♪」とか。
満願と誇りのために聖杯を懸け、命を賭してアーサー王ギルガメッシュが痴話喧嘩、とか。
飼い猫「我輩」が、ある教師の日常生活を赤裸々に裏告白、とか。
ライトノベルなんざ、とても読めないですけれど。(笑)
……ィャ、夏目漱石御大の『我輩は猫である』は、ライトノベルじゃ無ェよ。
……でも、やってる事は『ぐるねこ』みたいなモノですよネェ?
……漱石先生が言いたかったのは「ぬこかわいいよぬこ」ってだけの話なのですから。
(……ただし『我輩は猫である』のラストは、溺死による DEAD END だけどな。 / ぼそっ)


で、何の話だ?
ベン・トー』?


なんつーか、見ていて、強く疑問を感じたのは。
この作品が大成して、相応の印税が期待できる身の上となって。
金銭的には、半額弁当に頼らなくても無問題の社会的高位に付いた原作者、は。
それでも、意に殉じて死地に向かい、半額弁当の争奪戦に生命を賭すのだろうか、と。


……ちょっと、言い草が大仰でしたね。


つまり、原作者は。
わざわざ、手間と面倒を掛けて、それでも半額弁当を求める心意気を維持できるのだろうか。
そして、底意地と心意気を体現して、それを作品に還元する上で。
(取材のために半額弁当の争奪戦に参加して、その熱き実態を、身を以って調査するに際して。)
そのための時間を、今後、工面できるのかなぁ、……と。


ィャ、まぁ。
「スーパーマーケットに出向いて半額の弁当を入手する」なんざ。
立地条件にも寄りますが、小一時間もあれば大抵は侭なる作業なので。
時間が無い、時間が無い、……っても、そんなに致命的なタイムロスには、ならないですが。


なんつーか。
半額弁当を取り合う人々、それを傍目に見届ける店員、それぞれの悲喜交々、……を。
今までと同じ感性で、素直に、観察するコトができるのかなぁ、……と。


自己都合と妄想を足して 2 で割った、絵空事の粗製濫造で。
これからも、小説屋として永続可能な商売を続けて行く、具体的な算段があるのかしら。
その生命線として、冷めた半額弁当に、熱い心意気を見出した上で。
それを、作品として、還元換価させながら。