すぷらった…

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累々と
屍肉の破片が
そこかしこ


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此処を御覧の諸姉諸兄に、一つ、質問があるのですが。


たぶん、ハリウッドの映画だと思うのですが。
一人のオトコの、陳腐で普通の、ライフストーリー。
……なのですが。
彼を取り巻く周囲の環境が、すべて、映画のセットやらエキストラやら、……で。
「一人の人生を追い続ける、壮大なドキュメンタリー映画」って、設定で。
その主人公のオトコが、ハリボテの虚構の世界に気付いて、困惑するサイコホラー。


ィャ。
実質、一人の死人も出ない、だからこそ恐怖をそそられる、怪作なのですが。
チャップリンの映画にも似た、コミックホラー。


BLOOD-C


上記の映画の話は、小脇に置いといて。
コチラは、次々とヒトが死ぬ、アニメの話。


中盤に喰い殺されたと思った双子が、ザオリク
終盤で皆殺しにされた学友の内、数人が、アレイズ。


「あっ。アタシらはメインキャストだから特例で生きていられるんだけどー」
「他のエキストラの子は、みーんな死んじゃった♪」


……そして、気が付いた。
俺、この双子の名前を、まったく記憶していないっ!?(そこかよ。 / 笑)
ネネ、と、ノノ?
ナナ、と、モモ?
まぁ、どっちにせよ、何にせよ。
再び、惨殺される、捨てキャラの噛ませ犬なので、記憶に残しておく必要も無いのですが。


ともあれ。
怪異「ふるきもの」と戦うメガネ(CV : 水樹奈々さん)の、謎に満ちた過去の遍歴。
その『存在』を試験的に振り回す、第三者の陰謀により。
彼女以外のすべての周囲環境が、脚本の用意された映画のエキストラで、スタジオセット。


最初の頃に『ひぐらしのなく頃に』に似た「不自然な閉鎖性」を感じた理由は、そこでした。
ひぐらし』も、そうでしたから。
圭一以外の(雛見沢の)住人は、みんな、第三者の都合で動いていたエキストラ。
そこで繰り広げられる、幾多の「脚本通りの殺人劇」と「アドリブの殺人事件」。


雛見沢症候群


独特の閉鎖性の中で蔓延する、いつ自分が死ぬとも殺されるとも知れぬ、殺気と血臭の氾濫。
別作品で、今一度、クローズド・サイコ・スリラーに震撼させられるとわ。


ィャ、まぁ。
BLOOD-C』は、ジャンルとしては。
ホラーでも無く、オカルトでも無く、ただのスプラッターですけれど。



パンツや乳に関しては、割りと、無遠慮に見せ付けたクセに。
殺戮のシーンには、モザイクや逆光が入り、まったく何がどうなっているのか見えず。
(場面によっては、断末魔の悲鳴や、臓器の破砕音すら、何も聞こえなかった)
……でも、逆に。
……その隠遁(倫理的な理由による苛烈な表現の自粛)演出が、恐怖を三倍に増したワケで。
……何が起こっているのか、感覚的にしか感知できないからこそ、想像が恐怖を倍化させる。
……コレはコレで、新しい表現技法なのかなー、とも思いつつ。


「最後の方で、死ぬ」と睨んでいた、喫茶店のお兄さんが、諸悪の黒幕で。
「このヒトが黒幕かな」と思っていた女教師が、あっさり殺されて。
なるほど、後になって考えてみれば。
そうだ。CLAMPが、大きく噛んでる作品だった、……と。(笑)


イケメンに、重要な役所を一任して。
妖艶な姉御には、不遇で残酷な末路を用意して。
魔法騎士レイアース』の頃から、そうだったなぁ、……と。
ィャ、その辺りのセオリーのコジツケは、まったくボク個人の偏見であり。
ちょびっツ』『xxxxHoLic』『CCさくら』など、例外の方が多いのですが。


それも踏まえて。
CLAMPじゃなかったら、『学園黙示録』と同じぐらい印象が薄かった。
そんな感じの、B級スプラッター


つーか。
結局、コレも「劇場版詐欺」だったので、幻滅した。


結論は、その一語に尽きます。
壮大な世界観と、猟奇に満ちた作風と、血生臭い苛烈な演出。
……でも。
その狂気の発端は「もっと、お金を注いでね♪」って、ただの俗欲に満ちた商魂だったワケで。