てんさい…

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天災は
忘れた頃に
やって来る


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……なんて言葉が、ありますが。


有史以来、人間は。
幾度と無く、未曾有の天災に見舞われた歴史の中に生きているワケですが。
生物の中で、唯一「自分たちの記憶を即物化する」スキルを持つ、人間は。
だから。
有史以来の天災を、誰一人、一度たりとも忘れた事など無いワケで。


そりゃ、例えば、日本を主軸にして考えると。
ロシア、ドイツ、アメリカ、中国、など。
異国の歴史的災害までは、逐一、覚えていられませんけれど。
それでも。
スマトラ島の大津波、ハリケーン・カタリーナ、四川大地震、など。
記憶の奥底に、痛烈に、刻まれている異国の天災も、あるワケで。


殊更、日本の歴史的天災ともなれば。
伊勢湾台風室戸台風関東大震災阪神淡路大震災、など。
平成生まれの方々でさえ、その名を知り、その恐怖を肝に銘じて。
各々、防災と安全のため、各位ができる範囲の事に尽力しているのですが。


それでも。
逆に、言えば。


神威は、歴史を尊重する人々に対して、無慈悲な牙を剥くのです。


東日本大震災を例に挙げるのは、心苦しいのですけれど。
あの災害こそ「過去を大切にする人類に、天が牙を剥いた一例」の典型だと思います。
天啓でも無く、天恵でも無く、天警でも無く。


『典型。』
善意も悪意も関係無く、無慈悲で、無情で、物理的な、「神威」。
ボクは、神仏の概念を全否定する無神論の唯物主義者ですが。
それでも、時折、『神』と云う仮想の概念に、オカルト的に震撼する事もあります。


天災を忘れず、過去を尊重し、善(禅)に生きる人々に向けられた、牙。
東日本大震災の一例。


過去、三陸沖は、何度と無く、大津波に呑まれた歴史を持つ土地です。
有史の資料を参考に、考え得る範囲で最大の津波が6mとされていて。
それでも、人智を超える『神威』に備えるべく。
過去の天災の悲劇を、決して、忘れぬために。
超歴史的な10m想定の大津波をも止める、巨大防波堤を築造したのですが。


敢えて語らずとも、皆様も、知っての通り。
「神」は。
「自然」は。
20mの大津波によって、人々を蹂躙したのです。


これが。
先達の言う「天災は忘れた頃にやって来る」だとは、ボクは思いません。
どう考えても、度が過ぎた神の悪戯だとしか考えられません。
『神の悪戯』と、詩的に隠喩しましたが。
実も蓋も無い言い方をすれば。
まるで科学を逆算する意思を持つかの如く、意志を持つ自然の驚異。
それを「神」と抽象的に比喩して、第三者的に解釈したくなる道理も納得です。


阪神淡路大震災にしても。
決して、西日本の人々は、関東大震災の猛威を忘れた訳では無いです。
近畿地方のそこかしこに、活断層が張り巡らされている事実も知っています。
相応、磐石の震災対策を、常日頃から心掛けて来たのです。
……にも、関わらず。
……あの、甚大な被害でした。
東日本大震災までは、現代地震史上で最大の激甚災害


今一度、諸姉諸兄に、告げます。
天災は、覚えていても、やって来るのです。
それも、僕等が用心しているより何倍もの大被害を齎す形で、意図的に。


9月1日、防災の日
関東大震災が発生した日。
江戸時代の名残が消えて文明化した近代日本の根底を、全破壊した、激甚災害


日々の用心も、無論、大切ですが。
それよりも、まず、覚悟が必要なのかな、……と。
備えを見つめ直しつつ、そんな事を思いました。


死を直視する覚悟、では、無く。
生きる、覚悟。
日々の用心は、その覚悟があってこそ、なのだと思いました。