いもうとよ…

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「妹よ…」
嫁入り前の
兄心


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いい夫婦の日、いい兄さんの日。
以下に挙げる本日のケーススタディは、すべて。
兄妹の関係に限定しています。


「妹キャラ」を語るに際して。
姉妹の場合は、以下の論説は、まったく該当しないと云う点を留意して下さい。
(例えば、柊つかさ平沢憂美坂栞、など)


兄と妹の話。


昭和の頃。
そもそも、兄妹の関係に「萌え」なんて概念は存在しませんでした。
(『ハイスクール奇面組』一堂零の妹の一堂霧、など)
ジャイアンの妹のジャイ子、と、説明するのが手っ取り早いかしら)
…、が。
ポテンシャルと云うか、それとなく可能性を模索する動向もあったワケで。
(シャア(キャスバル)の妹のセイラ(アルテイシア)、など)
スタジオぴえろ系の魔法少女にも、それとないニュアンスがあったり無かったり)


ほぼ唯一、あだち充先生の『みゆき』だけが。
「妹」と云う単語に、ある種、性を介した恋愛観の可能性がある事を直球で描いたですが。


おそらく『みずいろ』の片瀬雪希、が、初めて。
今日のニュアンスの、いわゆる「妹萌え」の下地を形成したワケで。
D.C.』の朝倉音夢、『夜明け前より瑠璃色な』の朝霧麻衣、などを経て。
性の対象、恋愛の対象としての「妹」の存在が、市場にて注目を集めるに至りました。


カードキャプターさくら』の木之下桜。
とらいあんぐるハート』の高町なのは


そもそもの萌え所は「妹キャラ」とは無縁の加スタンスのキャラクターも。
後になってから「ああ。コイツも妹キャラだ」と再クローズアップされる、など。
『妹』って単語が、特別な意味を持つ時代に突入したワケですが。


ぱにぽに』の桃瀬くるみ
さよなら絶望先生』の糸色凛。
マリア様がみてる』の藤堂志摩子
『スケッチブック』の神谷朝霞


実際、妹であるにも関わらず。
「妹キャラ」としては見向きもされないケースも踏まえて。
「妹キャラ」と『妹』は、似て非なる概念であり。


涼宮ハルヒの憂鬱』のキョン妹
キミキス』の相原菜々。
化物語』の阿良々木火燐。


『妹』にして「妹キャラ」なる、更なる可能性の模索が続いている、自今。


そして。
妹萌え」の単語に踊らされて、多くのオタクが失念している、決定的な問題。


実妹、と、義妹、の、垣根。
そもそも「妹萌え」が求める真髄の境地の根幹。
『妹』でありながら、堂々と、ありとあらゆる性関係に至りたいのか。
『妹』だからこそ、超えてはならない一線の範囲内で、限定的な性差を模索したいのか。


極限すれば。
元来の「妹萌え」と云う考え方の、大元は。
血の繋がった家族と姦淫する、セックスの倒錯と暴走に溺れたカタルシスであり。
「それはヤバイだろ!」ってコトで、倫理と良識の線引きを模索する楽しみだったりします。


あるいは、だから義妹(血縁の無い兄妹)と云う設定でセックスに興じる。
(片瀬雪希、朝倉音夢朝霧麻衣、の、タイプ)
あるいは、実妹(血縁の成立する兄妹)と、セックス一歩手前の性遊戯に興じる。
(相原菜々、阿良々木火燐、の、タイプ)


一線を越えて、実兄妹の性関係をストレートに描く概念も、あります。
もっとも近例で言えば『ヨスガノソラ』の春日野穹、ですか。

などなど。
他にも、タイプ別による分轄考察、とか。


・シスコン、シスデレ、お兄ちゃん大好きタイプ。
(『おとぎ銃士 赤ずきん』のグレーテル)


・兄に対するリスペクトはあるが、兄の真意が分からず翻弄されるタイプ。
(『マリア様がみてる』の藤堂志摩子


・兄と妹の距離が、一見、まるで赤の他人ほど離れているタイプ。
(『らき☆すた』の日下部みさお


・兄に反目、兄を否定するタイプ。
(『機動戦士ガンダム0083』のアイナ・サハリン


兄、と、妹。


妹萌え」の楽しさは、単純に、妹キャラの「可愛いさ」だけで無く。
昏々と突き詰めると深淵の底が見えないジャンルとしての深さ、だと思います。


そんなこんなを踏まえて。
『俺の妹がこんなに可愛い以下省略』を見ると。
なるほど、これはこれで深いのかも知れないと思ったり思わなかったり。
今は、この作品を否定的に見ているボクですが。
あるいは、半年後か一年後ぐらいに、まったく別の感想を抱く気もしつつ。


取り敢えず、単純に、妹キャラとして見た限り。
高坂桐乃より、根岸みなもの方が、よっぽど可愛い妹キャラだと思いまス。
高坂桐乃の魅力は、たぶん、『妹』とは別の部分に隠れている気がする。
原作者が、そこを意識して書いてるのか、どーなのかは知りませんが。
『妹』って単語に騙されなければ、これは、すごく面白い作品なのかも知れない。