しんじつは…

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真実は、いつも一つ!


(読み人 : 青山剛晶)


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「事実は小説よりも奇なり」。
まさに、その一語に尽きる。


そんなワケで。
厚生労働省の文書偽造疑惑を巡り、検察が大嘘を扱いた、例の事件の話。


土台、ボクは、宗教と云う考え方を根本的に全否定しているワケで。
人間の善行を神様や仏様やマリア様が見てる、なんて思念は馬鹿馬鹿しいと思ってます。
否。
「汝、悪人たれ」などと性悪説を気取るつもりは、毛頭、無いワケで。
宗教の概念の根本的否定 = 人間としての「善」の否定、では、決して、ありません。


悪人でも、善人でも、すべからく。
人間の生命ってのは、科学とか物理学とか数学に支配されている、と云うのがボクの信条。
ニュートン至上主義?
ガリレオ原理主義
まぁ、どんな言い方をするのか知りませんが。
人の死生は、善悪とは、無関係であると思うワケでして。
この自説は、死語、三途の川を渡り閻魔鏡の前でも主張すると思います。


ボクの中に宗教的な部分がある、と、すれば。
閻魔崇拝の地獄主義(六道輪廻の転生仏教)なのかも知れませんね。
あるいは、自分が修羅道か餓鬼道に堕ちる不安も拭い切れません。
ひょっとしたら、また、人道に追い遣られて。
人間の「いろは」を一から勉強しなおして来いとか言われるかも知れませんが。
(人間に限らず、畜生道に回されて、生命の尊さを知れ、とか言われるかも)
少なくとも、六道輪廻の地獄主義に於ける極楽道には、辿り着けません。
キリスト教だろうが、イスラム教だろうが、儒教だろうが、正しき行いに終始した人の死語の世界。
そこには、たぶん、ボクは辿り着けないかなぁ、……とか思うワケでして。


何の話だ。
そうそう、名探偵コナンの話。(ちがいます。 / 笑)


よもや、まさか。
裁判、……と云う、真実と真実を参照する、現実の閻魔鏡の場に於いて。
司法が、平然と、嘘を吐いた、……とか。
前代未聞、空前絶後、驚天動地のスキャンダル。
その渦中にありながら。
淡々と、手の内にある事実を以って『真実』を突き付けた、現代のジャンヌ・ダルク


善意に則り、日々、誠意を以って職務に従順しながら。
「偽者の文書を偽造した」とデッチ上げられ磔に掛けられた、現代の魔女は。
どうやって、火刑(有罪)を免れ、生還したのか。
果たして。
村木女史の善行と正義に対して、賛同し、彼女に祝福の福音を捧げたのは、誰なのか。


神?
仏?


少なくとも、宗教は、この歪んだ現実に対して、何一つ、救いの手は差し出さなかった。
この歪んだ現実を、一夜にして、引っくり返したのは。
村木女史が、淡々と客観的に準備した、科学的な数字データ。
彼女の身を助けたのは、彼女自身が用意した、科学の力。
(磁気媒体と書面媒体に記録された日付の数字データの食い違いを根拠とする、改竄の実証)


この一連の事件を、対岸の火事として見た感じ。
いつものボクの、オタク脳に毒された、素っ頓狂な感想としては。


弁護士のくず』を思い出しました。


弁護士の、九頭。
事実と事実の線引きを、屁理屈で多角解釈する、実に面白い漫画。
その中で問われるとは、事実と、真実と、ヒューマニズム


この、一連の事件。
公的機関の文書偽造から端を発した、司法の証拠偽造と云う大ドンデン返し。


九頭は、どんな顔して、何を思うのかなぁ、……とか。
仮に、この一件を、村木女史の側から当事者として関与していた、と、妄想したら。
マンガとして、最期の最期は、どんな言葉でオチを付けるのかなぁ、……とか。


推理小説やマンガでしか在り得ない事が、現実として、起こった。
それを、悪意の先読みと客観的事実の羅列で、冷然と覆した。
どんなミステリー小説よりも数奇な、事実。


ねぇ、シモン。
『真実』って、いったい、何ですか?