おにかぐら…

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月、映えり
満月に咆哮(ほ)ゆ
鬼神楽


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仲秋の名月、ってのは、いつの満月のコトなんですか?


ともあれ。
ツクツクボーシの音に夏の終わりを感じて自今。
考えてみれば、二十四節気の一つ、処暑だったワケでして。


ここ一週間、数理気象学から見れば、まったく変化の無い気候温度状況なのですが。
処暑を派境に、数学では説明が利かない、奇妙な現象が発生しています。


地域生態系の、小さな変化。
8月23日の夜、と、8月24日の夜、……で。


セミが(ほぼ)全滅し、スズムシやコオロギが大発生する、と云う。


まるで、デジタルに支配された西洋数字の太陽暦よろしく。
キッチリと、セミとスズムシが、スッパリと入れ替わったワケで。


平素、昆虫の生態系の変化、ってのは。
気温、太陽光明度、湿度、など、割とアナログの数字によって死生が入れ替わるワケで。
セミの残党と、粗忽者(あわて者)のスズムシが、入れ違いで混乱するのが常でして。
万葉の虫々が鳴き乱れ、サウンドスケープが混沌とした雑音に包まれる時季なのですが。


今年は、それが、無い。
虫たちも、人間たちみたいに、カレンダーで自分たちの出入りを管理しているのかと思うほど。
クッキリと、地域生態系の入れ替わりが、スムーズに行なわれました。


何?
虫たちは、どうやって、8月23日の処暑を知ったんだ?
だって、気温も太陽光明度も湿度も、まったく変わってないですよ?
この一週間、こと、8月22日と8月23日と8月24日の間で、目に見えて変化した数字、と、云えば。
カレンダーやら時計やら、人間が都合によって数字化したタイムスケジュールぐらいですよ?
それか、日経平均株価とかダウの終値とか、円←→ドル為替レートぐらいですよ?(笑)


昆虫の生態系に、決定的な変化を及ぼすほどの『数字』は、何も変動していないハズなのですが。
強いて云えば、公転地軸の角度による太陽の入射角、か、月齢。
少なくとも、気温やら湿度やら、その辺の『数字』は、まったく変化が無いハズなのですが。


小さな自然を見ていて感じた、大きな大きな不思議。


気温は、太陽光明度は、湿度は、まだ真夏のままなのに。
人間が科学的に管理運営しているカレンダーだけが、機械的に、夏の終わりを告げたに過ぎないのに。
人間の『数字』支配が遠く及ばぬ虫たちの世界で、人間たちよりも理路整然と。
夏→秋の社会的なシフトチェンジが、滞りなく、敢行された
のだろう……。