しんしんと…
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深々と
雪、降り積もる
冬の谷
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そんなワケで。
トーベ・ヤンソンの原典を忠実に再現した、平成ムーミン。
……の、再放送。
個人的に楽しみだった「ムーミン谷の冬」編、終了。
トゥーティッキー(原作では「おしゃまさん」)が、相変らず漢気キャラで。
スナフキンの留守を預かる身として、ムーミン谷の仲間たちを取り纏めつつ。
突き放したツッコミのキレと面倒見の良さは、あの頃のままだったですが。
四捨五入して三十路になって、初めて、気が付いたコト。
図書館で「ムーミン谷の冬」も借り、改めて、読み直しましたさ。
ヤンソン版では、やっぱり「ムーミン谷の冬」が一番おもしろいと思う。
次点は「ムーミン谷の彗星」。
ィャ、それは、ともかく。
氷姫。
まぁ、平べったく説明すれば、いわゆる冬将軍なり雪女なのですが。
怪異としての序列と云うか、モンスターとしての位置付けと云うか。
元来、ムーミン谷に於いては。
「ニョロニョロ」や「モラン」などの低級怪異が存在するワケで。
ムーミン・トロール族の縄張りを侵犯しては悶着を起こす存在なのですが。
殊、「モラン」に至っては。
なるべく避けるべき脅威として、忌み嫌われている存在であり。
曹禺しても気付かないフリをしてスルーするのがセオリーなのですが。
その「モラン」が、氷姫に対して恐怖を抱き。
その名を聞いただけで恐怖し、自ら退散する、など。
ただの冬の化身かと思っていた氷姫が、実は、飛行鬼に類する上級怪異と知り。
改めて、深閑たる震撼を感じた次第。
そは美しい氷姫の外観に魅了された者は、その心身を凍結されて。
だから、決して目を合わせてはならない「しきたり」なのですが。
そんな「しきたり」は先人の寓話だと聞く耳を持たぬ子リスが一匹。
禁を破って氷姫の眼前に立ち、一瞬で凍結死するエピソードがあったハズなのですが。
テレビ版では、そのエピソードがカットされていて。
いらん事しぃのチビのミィが、瀕死の憂き目のとばっちりを食う、など。
小説版と比較して、若干、異なる部分もあったのですけれど。
ムーミン「あの、自分の事を馬鹿な子リスだと自嘲していた子リスの死骸?」
おしゃまさん「この子リスは、自ら、幸福な死を選んだのよ。馬鹿なんかじゃないわ」
ムーミン「どういう事?」
おしゃまさん「今際の際に、この世の物ならぬ神美と間見えたのだから。誇るべきよ」
ムーミン「いや……やっぱり馬鹿な子リスだよ。本当に」
ミィ「死んでしまえばどっちも同じよ。そして、この子の尻尾は私のマフラーにするわ」
この辺の、死生観を巡る哲学的なヤリトリが見られなかったのは。
なんとなく、ものすごく残念な気もしつつ。
あと、空気の読めないヘムレンさんと小さなサロメの秘めたる恋のエピソード、とか。
アニメにすると映えるエピソードが、それとなく割愛されていたのが、寂しいなぁ、と。